美しい日本語話者になれるまで

私が生まれ育ったのは出雲の国、
島根県松江市。

この地方は、出雲弁、ずうずう弁、という
全国でも東北地方と並んで
方言訛りがひどく顕著な地域です。

この地で育った私は、
幼い頃からテレビに出てくる人々の
美しい標準語に憧れていました。

私もあんな風に
きれいな日本語を話したい・・・
人前で堂々と話したい・・・

と。

そんな私でしたので、
大学での方言学や音声学は
大変興味深いものでした。

結局、大学院でも履修したので
合計5年間、日本語の音声について学びました。

それでも飽き足らず、
1年間アナウンススクールに通い、
やっと現在の、標準語に近い発声を獲得することができました(涙)

日本語の母音は
ア・イ・ウ・エ・オの5音ですが、
実は奈良時代以前は
7音あった、いや8音あったと、諸説あります。

出雲地方は古くに栄えた地域。
そして、3方位を山で囲まれており
人の移動が非常に少なかったために、
平安時代以降消えていった母音の1つである、

イ音とエ音の間の音

がいまだに存在しています。

方言は気をつけていさえすれば
隠すことはできますが、
この6つ目の音を矯正するのが
本当に大変でした。

実は、今でも気を抜くと
このイ音とエ音の間の音
つい発してしまうことがあります笑

方言は、日本語の財産です。
ですが、同じ日本の言葉であるにもかかわらず、実際どこでも通じるわけではないという不便さと苦痛さがついて回ります。

今東京のど真ん中でこの美しい標準語を
自在に操ることができる幸せ、
方言という縛りから開放された幸せ、
努力して獲得した達成感は、
おそらく地方出身者の方にしか
共感はしていただけないことでしょう。

私は今日も
この美しい日本語を話せる幸福に感謝しながら
東京という街を愛し、生きています。